仏事の知識と心得

曹洞宗の葬儀とは?

葬儀は故人との別れを惜しみ、死後の幸せを祈る厳粛な儀式です。同時に、故人を送るものたちが死と直面することによって、生きていることの本質をみきわめるための大切な機会でもあります。

曹洞宗の葬儀では、菩提寺の住職が仏さまと故人との橋渡し役(「導師」と呼ぶ)をつとめ、故人を彼岸へ導く(「引導を渡す」という)。そして故人は、いつまでも仏さまの世界から私たちを見守る存在となるのです。したがって、葬儀は故人に対する儀礼であると同時に、参列者への導きの意味も成しています。

【遺族としての心得】

家族との最後の別れは言葉では言い表せないほどの深い悲しみがあります。その中にありながらも、末期の水、湯灌(ゆかん)、死化粧(しにげしょう)、死装束(しにしょうぞく)、遺体の安置、枕飾りなど、故人の旅立ちの準備を進めなければなりません。それが、故人を送るものたちの責任でもあるのです。

遺族の代表として葬儀を執り行い、故人にかわって弔問のあいさつを受ける喪主は、ふつう、故人が既婚者の場合はその配偶者がつとめ、配偶者がすでに亡くなっていたり、高齢・病気などの理由でつとめられない場合は、長男や同居している子供など、故人と縁の深い人がつとめます。故人が未婚者の場合は、親や兄弟がつとめることが主です。

喪主以外の遺族も、故人の心安らかな旅立ちのために喪主をしっかりと支えてあげたいものです。

【弔問・会葬者の心得】

近い親戚や親しい友人などの訃報には、とりあえず弔問に駆けつけます。この場合は、特別派手でなければそのままの服装でも結構です。

悲しみにくれる遺族の気持ちを思いやり、玄関先でお悔やみを述べて失礼します。故人との対面をすすめられたときは、遺族に一礼を述べて案内に従います。

一般の弔問の時期は、通夜は親戚や親しい間柄の人だけ、その他の人は葬儀・告別式に参列するのが本来の姿です。