寺mono ─ 解説!お寺の道具

梵鐘(ぼんしょう)

染みとおる響き

梵鐘といえば、大晦日の「除夜の鐘」。煩悩を取り去って新たな気持ちで新年を迎えるために、煩悩と同じ数の108回突き鳴らす。人々の平安を願う祈願の鳴鐘である。

寺院では、主に時刻を知らせるためや、法要の合図のために用いられる。

修行道場では「鐘点」「鐘司」という当番が、一突きするごとに礼拝しながら丁寧に突き鳴らす。梵鐘の音は、天候や地形によって差はあるが、かなりの範囲に広がり多くの人々が耳にするので、「仏さまの声」を届けるその責務は重い。また間違って鳴らせば道場全体の行動にも影響するので気が抜けない。

まさに寺院のシンボル的な存在であるが、すべてのお寺にあるわけではない。特に戦時中、金属不足のため国へ供出されるという悲しい出来事もあった。よって戦後あらたに鋳造された梵鐘も多い。

【ぼんしょう】
木製の撞木(しゅもく)で突き鳴らす金属製の釣鐘。
口径一尺八寸(約54.5cm)以上のものを梵鐘というとされ、それ以下の小型のものを殿鐘や半鐘と呼ぶ。特に大型のものを大梵鐘ということも。
主に青銅製。
静かな佇まいの鐘楼
静かな佇まいの鐘楼(しょうろう)
梵鐘の解説