イス坐禅

これまでみてきたように、足を組んで坐るのが坐禅のかたちですが、足を怪我をしたり、疾患を抱えている場合はそうすることが困難だと思われます。
「坐禅に興味はあるが膝が痛くて…」そのようにあきらめた人はいませんか?

坐禅は限られた人だけのものではなく、どなたにでも取り組んでいただけるものでなければなりません。
曹洞宗ではイス坐禅の普及に力を注いでおり、曹洞宗近畿管区教化センターでは「暁天講座」や「禅をきく会」などで実施して、参加者からご好評いただいております。

イス坐禅とは、読んで字のごとく「イスを使った坐禅」のことです。
もちろん足を組める方は坐蒲を使って坐ることが第一ですが、これまで「坐禅なんて無理だ」とあきらめていた方は、ぜひイス坐禅に取り組んでください。イス坐禅は欧米化した生活スタイルの現代人に自然にうけいれられ、日常のさまざまな場所で気軽に坐ることができます。

「イス坐禅」も「坐禅」もおなじ坐禅です。その心のもち方や、呼吸の仕方、姿勢などはすべて同じで違いはありません。
曹洞宗はイス坐禅により、老若男女すべての人に坐禅の道がひらかれています。

イス坐禅入門

1. イス坐禅に使う椅子

イス坐禅を行う椅子について厳密なきまりがあるわけではありませんのでご自宅や会場にある椅子を使ってください。

椅子によって座面の高低がありますので、できれば、坐ったときに足の裏が地面にくっつく高さのものが坐りやすいでしょう。この時、背もたれに寄りかからず、浅く坐ってください。

座面が高すぎて足が不安定な場合は、足の下に坐蒲や台などを入れて調節すると良いでしょう。最近では、イス坐禅用の椅子が販売されています。座面に傾斜がつけられていて、自然と姿勢が正しくなるように工夫されています。

2. イス坐禅の作法

イス坐禅のおこない方は、ふつうの坐禅とまったく同じです。手の形や呼吸の仕方、作法など、先の坐禅の基本をご覧ください。裸足でできる場所であれば、坐禅と同じようにしてください。

3. イス坐禅の姿勢

イス坐禅は身体の大きさに適したサイズの椅子でない場合、長時間すわると不安定になる場合があります。特に、足の置き所、高さが肝心です。
以下、注意すべき点です。

  1. 背もたれにはよりかからずに、背骨をまっすぐにする
    ※坐禅用椅子は背中を背もたれにくっつけるように設計されている物もあります
  2. 足の幅は肩幅ぐらいに開く
  3. 足が浮いて安定しない場合は高さを調節する
    ※特に女性は椅子が高すぎる場合が多いようです
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