禅〜凛と生きる〜|曹洞宗近畿管区教化センター

禅のお話

今月の法話

お地蔵さま

京都府 萬歳寺住職 服部俊憲 老師

私の村にはあちこちにお地蔵さまが安置されています。

ある晴れた日曜日、仲良し三人組の女の子がお地蔵さまを掃除していました。
地蔵盆はとっくに終わったのに、と思いながら通りかかった私は女の子に声をかけました。
「ねえ、地蔵盆はおわったよ。なぜ皆でお掃除しているの?」と。
一人の女の子が答えてくれました。
「だってかわいいでしょう」他の二人もうなずいてくれました。

その昔、平安時代に地蔵信仰がおきました。これは、田んぼの仏さまです。お米の収穫をお地蔵さまに願ったのです。江戸期に入りますとその風貌があまりにかわいいために子供を守る仏さまへと変わっていきました。

現代も子安地蔵、子育て地蔵、六地蔵、水子地蔵など多くの人々に親しまれています。皆さまは、このお地蔵さまに大変な能力があることをご存知ですか?
生きとし生けるすべてをお救い下さるのがお地蔵さまです。子供から大人まで広く親しまれているお地蔵さん。都会の子供たちはこのお地蔵さんのことを知っていますか?
小学生を抱えておられるご家庭の皆さま。皆さまのお家の中に仏さまの写真や仏さまの像がございますか。一輪の花も癒してくれますが、お地蔵さまは一輪の花以上に私たちを癒しお救い下さいます。
悲しいとき、苦しいとき、そして、むなしい時、切ないとき。お地蔵さまは私たちをお救い下さいます。私たちに代わってその苦しみを受けて下さいます。

「お地蔵さまー、お地蔵さまー」
「はーい」
あれ返事が返ってきた。

2005/07/14
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