禅〜凛と生きる〜|曹洞宗近畿管区教化センター

禅のお話

今月の法話

日々新たなり

京都府 神応寺住職 安達瑞光 老師

「元旦、万物はことごとく新たである。伏しておもんみれば大衆、梅は早春を開く」
このように、如淨禅師が元旦に修行僧に示されたと、道元禅師は教えておられます。

梅の花のみならず、万物ことごとくが仏さまです。すなはち 天地自然の真理の現れです。だから梅の花が咲いているから春がきたというより、大地に梅の花の開くところすでに世の春は到来しております。万物みな新たなりと、お示しになられたのです。案外、目の前のことにとらわれてしまい、 ものごとの本質、すなはち春を見ていないことが多いのではないでしょうか。

今、日本では生きる意味を見失った人々があまりにも多い、不況とリストラで生きがいをなくしてしまったのでしょうか。右肩上がりの成長路線にしか価値を求めず、生き方の転換に意義を見いだすことができないのでしょうか。 

子供が生きがいを自分で見つける余裕すら与えない、そんな子育てばかりしているのでしょうか。

金銭が人間関係の基本であり、家族や愛情よりも信頼できる、世の中すべて経済的合理性に基づくという解釈しかしない人々ばかりになってしまったのでしょうか。

自然は人間のはからいを超えたものです。風が吹き、雨が降る。晴れたり曇ったり、日々新たなり、これが大自然の風光です。

新春を迎えて、森羅万象ことごとく新たなり。目の前のさまざまなものごとにとらわれないで眼前の風光を、あるがままに見、あるがままに受けとめて、ものごとの本質である春を見いだしてこそ、春の到来を心から喜ぶことができるのです。

日々新たなり。
365日を生き生きとありたいものです。

2005/01/01
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