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生死の風景

京都府 神応寺住職 安達瑞光 老師

 

  人間はこころの安らぎをもとめる、こころの安らぎがなければ心身が病み、生き続けることができません。現代人は日常的に何らかのストレスを感じていますから、心に悩みをもつ人が多い。
そして悲しいことに、自ら命を絶つ人があまりにも多いことです。 
現代人は人間社会のしがらみにしか生きる空間を持たないのか、あるいは人間社会しか見えないのか、山川草木や万物生命を見る広い視野を失ったのでしょうか。

大地には小さな花や昆虫が、生命の営みをみせています。人間のように生き死にを憂えることもなく、生老病死の悩みもない。金も名誉も、もとからこの大地にはなく悠久の生命の生き死にの流れがあるのみです。人間だけが欲と煩悩のしがらみから、人と人の間を堂々巡りして、自分の足下すら見失っているようです。
人は欲のおもむくままに生きていますから、つまずきます。真っ直ぐに背筋伸ばして、呼吸を整え、心しずめて生き死にの流れに身をおきましょう。自分の周りも、進むべき方向もよく見えてきます。

道元禅師のお歌に
「峰の色 谷の響きも 皆ながら 我が釈迦牟尼の 声と姿と」
とありますが、峰の色、谷の響き、山川草木や、万物生命すべて生き死にの流れの風景です。ことごとく輝きに満ちあふれ、ありのままに生き死にの流れの風景を露わにしています。

人とは、幸せとは、ストレスも悩みも生き死にの風景です。環境、社会、家庭、日常生活も生き死にの風景です。生き死にの流れの風景をそのままに受けとめるところに生きる喜びがあるのでしょう。


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