■■ 行事報告 ■■

曹洞宗近畿管区教化センター


平成16年度
近畿管区
青少年教化指導者研修会
日時:平成16年7月8日(木)・9日(金)
場所:京都センチュリーホテル


 去る平成16年7月8日(木)〜9日(金)に京都センチュリーホテルにおきまして平成16年度青少年教化指導者研修会を開催しました。
 近畿管内から青少年教化員を中心に約70名の参加がありました。

今回の講義内容は下記のとおりです。
◆講義1「戒と僧の現状と提言」角田泰隆 老師
◆講義2「自殺者とその心理」  瀬戸隆一 氏
◆講義3「意識と無意識」     北野哲由 老師

講義1は角田泰隆老師より「戒と僧の現状と提言」と題しご講義いただきました。老師は駒沢短期大学教授をおつとめで、曹洞宗総合研究センターでも教学研究等の第一線でご活躍であります。また、長野県の常円寺の住職でもいらっしゃいます。
角田老師は、先般出版された『現代戒想』(仏教タイムズ社)において現代僧侶の姿について戒をキーワードに論じておられ、今回は現代社会における僧侶の抱える問題や課題の分析を含め、ご自身の宗侶としての生活を通じて感じられていることなどをまじえて、今後の宗侶のあり方についてご講義いただきました。
僧侶の信頼低下が生じていることに関して、自己反省を含めたうえでお話され、「出家(無為)」の世界に生きるはずの僧侶が、なんら「一般社会(有為)」と変わらない生活やシステムの中で生きていることへの疑問と問題を提示されました。
「妻帯しない僧侶」が、ある種、異端視されることの違和感やおかしさをご自身の宮崎禅師とのエピソードをまじえながらお話いただき、宗門における福祉システムの確立や教師資格取得後の専門僧堂での研修の門戸開放など斬新な提言をいただきました。
また、「正法眼蔵随聞記」や「証悟戒行法語」をとりあげられ宗侶に求められる姿についてお話され、僧侶として持戒の重要性と今日的な戒のあり方について述べてられました。
戒に関連して飲酒や喫煙、肉食に関してもふれられ、「時代に即して戒を捉えな直すことや意味付けを行うことも必要でる。また、あたらしく戒とし含めていくような事柄もあるのでは」と締めくくられました。
⇒講義テープお貸しします(宗侶対象)ご連絡ください。
『現代戒想』(仏教タイムス社) 角田泰隆 老師
 
引き続き講義2は「自殺とその心理」というテーマで精神科医・瀬戸隆一氏(北山病院勤務)にご講義いただきました。
年間3万に以上の方が自殺で亡くなられる現代日本において我々僧侶も何らかの取り組みをする必要性を痛感しており、今回の講義に関心を寄せる僧侶の参加が数多くみられました。
現状の分析において、昨今60歳前の方の自殺率の高さを指摘され、その大半がうつ病などの精神疾患を伴うものであると述べられました。経済不況による生活苦が自殺者の増加をもたらしているとのマスコミ等の報道について「必ずしも生活苦から自殺行動という単純で直線的な捉え方が妥当だとはいえない」とされ、苦境をきっかけとして生じる、自殺へのプロセスについて説明されました。自殺者の90パーセント以上が精神疾患を患っているとのことで、自殺防止という観点からもうつ病へ対応や治療の重要性を強調されました。
現在はさまざまな薬が開発されており、それらによる投薬治療は効果があるそうですが、それと平行して心理面でのケアが大切であるとの事です。うつ病の方やその初期段階の方に通院をすすめることや、またやわらかく包み込むように話を聞き孤独感をやわらげることも心理面でのケアとして求められるとの事でした。
中高年の男性は「弱音を吐かない」という傾向が強く、罹患していても通院しないケースや本人も精神疾患であることを自覚しようとしないことが多いようです。
精神疾患の予防、さらには自殺の予防の為にも正しい精神疾患に対する認識を持つことが望まれるとの事です。
病状について数値で示すとう性質のものでのないので、精神科医の瀬戸先生も、画一的な方法や対処法があるわけでなく経験や患者さんと接したときに感じる「勘」というものを働かすこともあるとおっしゃっていました。
我々僧侶にできることは何なのか?生半可に対応できることではないのですが、今回の講義で自殺に対する新たな認識をえることができました。
 
瀬戸隆一 氏

 

 

第2日目は人権学習「意識と無意識」と題し北野哲由 老師にご講義いただきました。北野哲由老師は現在、奈良県宗務所の副所長ならびに人権擁護推進主事でいらっしゃます。
老師には、ご自身が長年の布教師としての活動のなかで体験された心温まる逸話を交えお話をいただきました。
なかでも、私たちに無意識的にひそむ差別心や勝手な価値観に縛られる心について述べられ、「頭での表面的理解だけでは不十分であり、自らを省み、日々の研鑽が大切である」と述べられました。
最後に「お互いに自己と他己の世界であります。自分の自己があるように、相手にも自己がある。相手の己を無視しては様々な問題が生じる。あたかも水のように自分自身を失わずして相手の形に同じうしていく。そして自他の境界をなくしてしまうことが大切。まさに、道元禅師さまのおっしゃる同事です。これこそ宗門の人権擁護の基本であります。」と結ばれました。
北野哲由 老師